デジタルカメラ業界トップ3社の2018年度1~3月期のIRが発表されました。各社の最新のイメージング事業の状況を見ていきましょう。
2018年10~12月期は?
前回のまとめはこちらです。
今期の結果は?
各社のデジタルカメラを含んだ事業セグメントは以下になります。
- キヤノン「イメージングシステム」
- ニコン「映像事業」
- ソニー「イメージング・プロダクツ& ソリューション(IP&S)」
また、キヤノンは12月決算、他2社は3月決算となっていてキヤノンは実際の月度を合わせてます。キヤノンは1月から「放送機器やシネマ用ビデオカメラなどのビジネス」は「産業機器その他」へ組み替えを行なっていいます。2018年1月〜3月の遡及数字として売上2,125億、営業利益257億となっていますので、前Q以前の数字は売上で90億程度、営業利益で△10億程度の差が出ていると考えてみます。
今回発表された2018年度1~3月期の売上、営業利益、デジタルカメラ(レンズ交換式+コンパクト)販売台数が以下となります。
グラフから見てみる
- 全メーカーともに売上、出荷台数ともに前年比マイナス。営業利益はニコンだけがプラスですが昨年度4Qはリストラ費用などがあった影響。1〜3月は市場が低調に推移したのはCIPAの数字とも一致する。
- キヤノンはあとがない状況か。営業利益はここ1年間ソニーと同水準になっており、また今期は限りなくゼロに向かっている。放送向け機器を今回から組み替えているがその営業利益はマイナスだったとのことなので、少しでも数字をよく見せるための細工と捉えられかねない。
- キヤノンは売上を大きく落としておりソニーと同水準となってしまった。台数的にはまだまだ差があるので高価格機へのシフトに苦労していることが伺える。
- ニコンはなんとか利益をプラスに留めるので精一杯。
- ソニーが営業利益を随分落としている。売上から見ると落としすぎに見える。年度通期で見るとソニーだけが唯一前年比プラス、売上102%、営業利益112%となっており順調なので年度を締めるにあたってなんらかの要因で利益を吐き出した可能性あり。
各社のコメント
IRからキーワードを拾ってみます。
キヤノン
- スマートフォンの台頭により一眼レフを中心とした市場の縮小影響を受けている
- 縮小傾向は当面続く
- 中国の景気減速
- フルサイズミラーレスとレンズの拡販を中心に収益性の回復を目指す
- 自社ミラーレスの販売台数は市場の伸びを大きく上回っている
- 従来の豊富なEFレンズ資産も継続的に訴求する
ミラーレスは好調だが一眼レフが想像以上に落ちているようです。一眼レフについてはレンズの拡販だけにとどめてミラーレスに集中してなんとか回復したいとのこと。
ニコン
- フルサイズミラーレスの投入で平均単価は上昇
- フルサイズ機の販売台数、売上は2年連続で前年を上回る
- 一眼レフ初級機を中心に市場縮小が進み、レンズ交換式カメラ市場は中長期的に半減する見込み
- Zシリーズがポテンシャルを発揮するには時間を要する。ラインアップの完成を目指す
- 一眼レフ中高級機の戦略機種の投入
キヤノンに続きマーケットが半減するとの予測を出しました。ミラーレスについてはその普及に時間が掛かるので一眼レフの新機種に着手した模様。D850が好調とのことで2匹目のドジョウを狙うようですが、FマウントをミラーレスZマウントで一旦否定したあとですからどのくらい利用者が付いてくるのかは興味深いです。
ソニー
- ミラーレス一眼カメラやその交換レンズ群などの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善
- 市場縮小の影響によるコンパクトデジタルカメラの販売台数の減少
- オペレーション費用の削減
市場縮小に伴う一眼レフの影響が無く、順調に高級機への切り替えが進んでるようです。
まとめ
市場が半減するという予測は共通認識の中で、キヤノンはミラーレスにより一層注力、ニコンは一眼レフと2本立てで進める、と方針に少し特徴が出てきました。結果はどうなるかが楽しみです。